これは支援の考え方を伝えるための架空の場面です。実際のご利用者様のエピソードではありません。
片づけたはずなのに、なんだか使いづらい。自分には便利な置き場所が、誰かにとっても同じとは限りません。
ある日の、台所で。
洗い終わったコップを、棚の奥へ。
「ここなら、すっきりしますね」
すると、ご本人からひと言。
「いつもの、手前に置いてもらえる?」
話を聞いてみると、奥の物には手が届きにくいのだと分かりました。
見た目を整える前に、理由を聞く。
よく使う物の位置、掃除の順番、慣れた道具。その背景には、体の動かしやすさや生活のリズム、長く大切にしてきた習慣があるかもしれません。
「どうして、そこなのですか」「いつもは、どうされていますか」。こちらのやり方を先に決めるのではなく、まず聞いてみる。そのひと手間が、その方の暮らしを知る入口になります。
いつも通りを、一緒に考える。
ご希望を尊重することと、安全に支援すること。どちらも大切です。気になる点があれば、そのままにせず、ご本人や支援に関わる人たちと相談しながら方法を考えます。
小さな問いを、持って訪問する。
「自分ならどうするか」だけでなく、「この方はどう暮らしてきたのだろう」。そんな問いを持つことも、訪問の仕事の大切な一歩です。

